Atelier Yukio Minobe 美濃部 幸郎 アトリエ

Branching Respiration Skin

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  1. [...] それではブランチング・フォームは建築のパフォーマンスを上げるためにどのように応用できるだろうか?例えば柱を樹木のようにする建築がこれまで多く作られてきた。しかし自然の樹木は柱のように何かを支えるためにブランチングはしていない、枝先の葉が最も多くの日光を得るように、光合成によって最大限のエネルギーを製造できるように、葉と葉がお互いに重ならない配置を求めた結果、ブランチングをしているのである。自然界のブランチング・フォームはものの流れに起因するのだから、例えば空気の流れを自然と同じようにブランチング・モーフォロージーによってデザインすることはできるだろう。風を効率的に建物の中を流れるならば、その最適化された流路のかたちはブランチング・フォームになる、自然は膨大な時間によって最適化した例によってそのことを私たちに教えてくれている。応用の方法は大きく2つあると思われる:ひとつはブランチングした流路のかたち自体をデザインすること、もうひとつは流路のかたちは自然に任せ、その入口と出口をデザインすること。プロジェクト”Branching Respiration Skin”(Yukio Minobe 美濃部幸郎, 2007-9)では前者を探求している。これについては後日詳述したい。プロジェクト”Catenary Respiration Roof”(Yukio Minobe 美濃部幸郎, 2009)は後者の方向、風の通り道のかたちは風にそのデザインを任せるが、風の出口の配置を検討することで効率的な自然換気をデザインすることができないか、ということを研究している。 [...]

  2. [...] このシロアリ塚の自然換気の仕組みはどのように建築の自然換気のパフォーマンスを上げるために応用できるだろうか。トンネルの構造は最先端の科学分野においてさえも調べられ始めたばかりである。その原理の解明にはまだ時間がかかるだろう。しかし基本的な仕組みは既に捉えられている。その範囲でさえもたくさんの応用が可能なはずだ。私もこれまで2つのプロジェクトで実験的応用を試みてきた。以下、応用例としてみて頂きたい。プロジェクト”Branching Respiration Skin”(Yukio Minobe 美濃部幸郎, 2007–2009…は上に述べたシロアリ塚の構成原理をドーム建築に応用している。シロアリのトンネルを、構造を兼ねた鋼管製の導管に置き換え、ネットワーク構造をブランチング(枝分かれ)構造の重ね合わせとして解いた。またドームの外形を風の向きと太陽の向きから「生成」的に定義するアルゴリズムを開発し、C.F.D.シミュレーションと形態生成アルゴリズムの組み合わせによって、求める気流の得られるデザインの方法を探求している。このプロジェクトはバイオミメティクスの視点からは、より直接的なシロアリ塚の「模倣」プロジェクトであると言える。これに対して、プロジェクト”Catenary Respiration Roof”(Yukio Minobe 美濃部幸郎, 2009)は「家」のかたちにシロアリ塚の原理を統合できないか、考えた。もともとシロアリ塚ほどには流線形ではないが、寄せ棟屋根をもつ頂部の尖った家のかたちは、その頂部付近だけではあったとしても、自然換気を促進するための風による表面負圧を生成させるには、フラットな屋根をもったモダニズムの箱形の建築のかたちよりも数段に適している。ただこの寄せ棟屋根の頂部付近に換気口を開けるだけでは、シロアリ塚の自然換気原理の知恵の多くを失ってしまうだろう。日本の伝統的な建築には「越屋根(腰屋根)」という形式がある。屋根の棟をまたいで小さな屋根をつくり、その下に換気口を開けることからこの慣習的名称がつけられている。流体力学的にはこの越屋根は屋根頂部に発生する負圧を利用した換気であって、全くそれは合理的である。しかしシロアリ塚の換気導管のネットワークが教えてくれるのは、換気導管が縦横に走ることによって、屋根頂部以外の負圧のゾーンやスタック・イフェクトを利用した自然換気を促進できるということであった。家のかたちのなかにこの縦横にはしる「風の道」が発見されなければならない。”Catenary Respiration Roof”はその場所を天井のふところの部分に見つけている。まず天井のふところ部分でその上下の空間を分ける「スリット」状の空間を作った。ここは外部の空間で風はどの方向からも吹き抜けることができる。水平方向の「風の道」である。そしてそのスリット状の空間に向けてその下の空間から穴を開けた。また一部は屋根の頂部付近の最も負圧となる部分にも穴を開けた。これらは垂直方向の「風の道」である。こうして水平・垂直方向の「風の道」が「家」のかたちに編み込まれる。「家」のかたちをシロアリ塚と同様に、人類がこれまでに進化させてきたもののかたちとして捉え、そのかたちの遺伝子を自然の遺伝子と「クロス・オーヴァー」させることを意図した。自然の進化も実はこれと同様な方法によってかたちとそのパフォーマンスを進化させてきた。既存のものを全て捨て去ること無く、その上に新たなものを貼付けるか、ミックスさせるかによって、環境に適応するかたちを見いだしてきたのだ。”Catenary Respiration Roof”は全く同様にして、家をシロアリ塚の子供を作った。C.F.D.のシミュレーションによってそれは良好な性能を発揮することも既に証明している。 [...]


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